〜笛工房NORI VENUGOPAL〜
聖なる篝火の山アルナーチャラ。
南インドのタミルナードゥ州ティルヴァンナーマライ市にあります。
2013年3月まで、工房はこの霊山を真正面に仰ぎ見る建物の3階にありました。
山の高い波動を受けながら作られてきた数々のバーンスリーは、すべて北インド仕様。
製作者のりは、ティルヴァンナーマライに住む以前は、主に北インドの聖地ヴァーラーナシー(ベナレス)を中心にバーンスリーを製作してきました。
ティルヴァンナーマライ市に移り住んだのは、仕事や音楽に関することではなく、パートナーともども、ラマナ・マハルシの教えに魅かれたという理由からでした。
世界中から「本当の自分に目覚める」ため、瞑想者や求道者が訪れる、このアルナーチャラ山の麓。
もちろんミュージシャンも多く、NORI VENUGOPALの笛は、そうした皆さんの高い評価を得て育ってきました。
2013年3月より、日本にシフト。かなりスローなマイペースでグラウンディング中です。現在兵庫県西宮市にいますが、電気も含め自給自足が可能な田舎暮らしを目指して落ち着き先を探しています。そのため、ただいまバーンスリー製作はペースダウンしておりますが、アルナーチャラの麓で作りためた良い笛の在庫があります。製作者本人の満足のいく出来映えのものばかりです。興味のある方はどうぞコンタクトしてください。
〜工房作の笛たち〜
火とナチュラルな素材だけで作るNORI VENUGOPALの笛。
何より艶のある音色を大切に製作されますが、他に製作上の数々のポイントがあります。
上下オクターブ及び各音のバランスが取れていること。
音が出しやすいこと。
指運びがたやすいこと。
チューニングが正確であり、他の楽器とのセッションが楽しめること。
また、 演奏する人の口の形や息の具合などで、全体の音程の高い低いに違いが生じます。
竹という素材の性質上、気温により全体の音程が若干変化します。
これらのことを考慮して、全体の音程のカラーが微妙に違う笛を製作しています。
北インド音楽では、西洋のドレミファソラシドと同じくメジャースケール(長調)で、「サレガマパダニサ」と各7音を呼び表します。
バーンスリーでは、上から穴を3つふさいだ音が「サ」で、笛のトニック音と呼びます。
対して全体の穴をふさいだ音は「パ」で、笛のキー音です。
工房NORI VENUGOPALでは、トニック音で、小さな笛から大きな笛まで、E(小)、D (小)、C、A、G、F、E、Dを製作しています。
NORI VENUGOPALのバーンスリーは、歌口を除き7穴または8穴ですが、指運びの上で、実際に使われる穴は上から6穴です。
バーンスリーの各穴は、次の通りにチューニングされます。
○○○○○○ すべての穴を解放した音・・・マのシャープ
●○○○○○ 一番上だけをふさいだ音・・・ガ
●●○○○○ 2番目までをふさいだ音・・・レ
●●●○○○ 3番目までをふさいだ音・・・サ
●●●●○○ 4番目までをふさいだ音・・・ニ
●●●●●○ 5番目までをふさいだ音・・・ダ
●●●●●● すべての穴をふさいだ音・・・パ
また、新製品として、バーンスリー用の竹で作る尺八の製作を始めました。
ヒンディー語では竹のことをバーンスと言いますので、これを仮にバーンス尺八と呼んでいます。
のりの笛作りは、もともと尺八から始まったのですが、インドに暮らすライフ・スタイルのため、本尺八用の竹の入手が困難でした。
アルナーチャラに集まる瞑想好きな外国人の、「禅」の笛としてのニーズに応えた結果、2010年から、このバーンス尺八が登場しました。
竹の7節を使う 本来の尺八は、正確なD管などを作ることは至難の技ですが、節を用いず、内径も様々に調達可能であるバーンス尺八は、チューニングを正確に決めやすく、また本尺八に比べて安価に提供できることでしょう。しかもあくまで「竹」です。
〜製作工程〜
ヒビや虫食いといった傷の有無、形状、厚みや乾き具合、密度などを考慮して、
北インドから運びます。
笛のキーと長さは、すべて内径をみて決定します。
竹の長さを決めてカットしてから、ストッパーになるコルクを入れ、炭を熾します。
まず歌口から、熱した鉄棒で穴をあけていきます。
チューニングには最新の注意を払いますが、何より長年培った勘が一番ものをいいます。
各穴の位置や大きさなどは、チューニングだけでなく、音のバランスや吹きやすさにも
大きな影響を及ぼします。
ゆっくり確かめながら、すべての穴を紙ヤスリで調整していきます。
割れを防ぐため、笛の上部と下部に コットンを強化した糸を巻きます。
納得のいく仕上がりになった笛には、焼印をいれて出来上がり。