★ はじめに:古楽Dhrupadについて ★

インド古典音楽は、ヒンドゥー宇宙観に根ざした音楽で、その起源はヴェーダの詠唱に遡ります。わけても北インドの古楽ドゥルパド様式は、その他の北インドの古典様式と違い、純粋なヒンドゥー起源の様式で、スタイルとしては9世紀頃からとも13世紀頃からともいわれ、現存する数あるインド古典音楽の伝統の中で最も古く、またとても瞑想的な深い音楽です。その哲学的根底は、ヴェーダーンタ哲学の「ギャーナ・ヨーガ(智慧のヨーガ)」であり、クンダリニー・ヨーガの一部である「ナーダ・ヨーガ(音のヨーガ)」の発想なども含まれます。 特に声楽の日々の修練には、ナーダ・ヨーガやハタ・ヨーガ(日本でヨガとはほとんどこれを指す)の呼吸法などと同じような行などが含まれます。

~発展
ドゥルパドは、その高度な芸術性ゆえに、やがてムガール朝の時代に宮廷音楽にも取りあげられました。16世紀前半のアクバル大帝の治世がもっとも交流した時代で、インド古典音楽史上もっとも有名な歌手ミヤン・ターンセーンが宮廷歌手として活躍しました。ターンセーンは、彼が歌うと超常現象さえおきた、と言われるほどの伝説的ドゥルパド声楽家です。
宮廷音楽に取りあげられたように、エンターテイメント性も実に深く素晴らしいドゥルパドですが、もともとは、お寺での奉納演奏や、個人的なスピリチュアルな修行のための、静寂を基調とした瞑想的な音楽です。それゆえ、16世紀以降、ドゥルパドは、華麗なカヤール様式などに押され、 インドの古典音楽シーンの中では、次第に後退して行きました。

~現代へ
音楽シーンの表舞台からは遠ざかったものの、ドゥルパドは、寺院関係や、一握りの家系音楽家たちの間で、生きた伝統としてずっと伝えられてきました。この伝統家系の音楽家たちは、たいてい現代様式カヤールの音楽家もかねていて、血縁のない弟子たちにはカヤールを教え、ドゥルパドは家系内でのみ伝える、というようにしてドゥルパドの純粋性を保ってきたようです。これらの伝統家系の音楽家たちを支えてきたのは、皇帝やマハラジャ(藩王)たちでしたが、やがてイギリスの植民地時代、民主国家としての独立を経て、音楽を経済的に支えてきた層が変化していきます。その変化は、ドゥルパドに大きな打撃を与えました。
20世紀前半に一度滅びかけたとさえ言われるドゥルパド。そのドゥルパドのルネッサンスが訪れました。
弦楽器ルドラ・ヴィーナーは、ドゥルパドの伝統楽器ですが、その20世紀の巨匠:故ウスタド・ズィア・モヒウッディーン・ダーガルは、ヴィーナーはエンターテイメント音楽のための楽器ではないとして、シタールは演奏しても、長年公の場ではヴィーナーの演奏はされなかったそうです。
故ウスタドが、人々に説き伏せられてヴィーナーの演奏活動を始められたのは、1964年のことでした。その後、あっという間に、その芸術の深さを認められ、弟の声楽家:ウスタド・ズィア・ファリドウッディーン・ダーガルとともに、インド社会を超えて西洋社会に紹介されていきました。
その瞑想的な深さと、高度で繊細で微妙な表現に、驚きと尊敬を持ってドゥルパドを迎えたのは、西洋社会の方だったといえるかもしれません。
優れたグル(師匠)でもある両ウスタドは、ドゥルパドを家系外にも伝え始め、インド内外に優れたドゥルパド演奏家が誕生していきました。このようにして、ドゥルパドのリバイバルが20世紀後半に訪れたのです。


★ Shreeのヴォイス・ワークショップ内容 ★

主に、テーマ別に、①発声法、②古典音楽、③スピリチュアル・ソング、の3系統になります。

すべてのワークショップの根底には、ヨーガやメディテーション、ヒーリングの要素が含まれます。

インド音楽、わけても声楽は、ラーガの宇宙を即興で顕して行くという、ひとつの異次元体験と言えるもの。
古典音楽系のワークを体験なされば、ドゥルパド声楽やインド音楽を聴くに当っても、前より一段深い理解の上で聴くことになりますので、面白さが全く違ってくることでしょう。


① 発声法 
  ドゥルパド式発声法
ハートセンターから声を出す。自分の自然な声で歌う。
これらは、皆さんで一緒に声を出すこととともに、大きな癒しに繋がります。 
  呼吸の方法
ゆっくりした唱法の時・・・ 仙骨のあたりから深く息を入れる腹式呼吸(プラーナーヤーマの要素が含まれます)。
速いパッセージを歌う時の息の入れ方・・・歌う時の呼吸法技術として。
  ヴォイスのためのチャクラ・ワーク
軽いボディワークで床に座って行います。
  マンドラ・サーダナ (早朝のワークショップのみ)
マンドラ・サーダナは、ドゥルパド声楽の早朝のヴォイス・メディテーション。
プラーナーヤーマの要素も含まれる低音の行です。
   

② 北インド声楽・古典音楽系
・入門編:「北インド古典音楽の基礎」
基礎知識、声楽の基礎訓練。
ドゥルパド風歌い回しに触れてみる。
ドゥルパド式歌い回し方では、「気」のボールを転がしたり膨らましたり放ったりするように声を出して行きます。
実際にコンサートを聴かれたお客様から、聴いているだけで「身体、特に背骨の掃除された感じで気持ち良かった」、「ライブのあと体が爽快だ」などという感想をよくいただきます。
自分で歌えば、もっと気持ちよいはずです。
音背景の楽器タンプーラの演奏指導。

・初級編:「ドゥルパド声楽の基礎」
声楽の高度なテクニック
ラーガの即興に触れる(無拍子でゆっくりとしたアーラープ)
いろいろなエネルギーを持つ「シラブル」を発音の材にして、旋律の即興の進め方を一緒に試してみる・・・作曲の練習にもなります。
リズム周期にのっとった歌(太鼓パカワジとともに)
パカワジのカネコテツヤさんをお迎えして、ドゥルパドの太鼓パカワジをバックに、バンディシュ(歌詞のあるテーマソング)を一緒に歌ってみる。これらのバンディシュは、ほとんどがスピリチュアルな内容の歌詞で、インド宇宙観やヴェーダーンタ哲学、スーフィズムに基づいています。  

*中級編以降は、個人レッスンという形をとる必要があります。 

③ スピリチュアル・ソング
・マントラなど サンスクリットの発音指導と歌い方
 音背景の楽器タンプーラの演奏指導も含めることができます。
 タンプーラは、メディテーション効果の高い弦楽器で、習得にはそれほど技術を要求されません。
    *「マントラの伝授」など、イニシエーション的意義が含まれることはいたしません。
・バジャン(主にキールタンなどの短くて簡単な美しい歌)
 一緒に皆で延々歌っていくことで、心の浄化を促していきます。
 ギターやマンジーラ、太鼓などの鳴りもの持参で参加していただくのも楽しいです。

④ テーマがミックスされた内容
発声をベースに古典系とスピリチュアル系をミックスした、グル・ストートゥラムなどサンスクリットの詩を古典音楽のラーガの調べにのせて歌う、といった内容です。
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